歯の神経部分にまで進行してしまった虫歯に適応される処置です。
この処置では、細菌が侵入した神経や血管を取り除き、根管(歯の根の中の空間)を専用の薬剤と器材で丁寧に清掃・消毒します。
根管は非常に細く、複雑に入り組んだ暗い空間であるため、治療に高度な集中力と専門技術が求められます。したがって歯科医師の技量はもちろんのこと、医院に導入された設備や使用する器具によっても、治療の精度が大きく変わる治療です。
保険診療による根管治療の成功率は、歯の種類により異なりますが、全体で約20~40%にとどまるのが現状です。半数以上のケースで治療後に再発が見られ、これは歯科治療の中でも特に高度な専門技術を要する処置である事実を示しています。
さらに、根管治療を繰り返すごとに成功率は低下していきます。その主な原因の一つは、時間の経過とともに細菌がより強い感染力を持つようになる点です。
また、神経や血管を失った歯は、酸素や栄養、免疫細胞の供給が途絶えるため、健康な歯に比べて弱くなります。再治療のたびに根管を削らざるを得ず、歯の状態が徐々に悪化するリスクが高まっていきます。
根管治療(いわゆる根の治療)の成功率について、日本と海外では大きな差があることをご存知でしょうか?
現在、日本のほとんどの歯科医院では保険診療による根管治療を行っています。神経の除去や根管内の膿の除去といった一連の処置には、優れた技術とともにさまざまな高額な材料が必要です。しかし、保険診療の枠組みでは「器材・時間」に制限が設けられているため、再治療が必要となるケースが少なくありません。
これに対し、私どもは「米国式の精密根管治療」を採用し、豊富な経験を持つ歯科医師が治療を担当いたします。さらに、海外や日本国内の優れた臨床事例をもとに、使用する器材と治療時間にもこだわった丁寧な治療を心がけています。
日本の保険診療による根管治療は、実に半数以上で再発が生じています。一方で、米国式の根管治療における成功率は90%以上と言われています。世界から見ると、日本の保険診療における根管治療の成功率は極めて低い水準にとどまっているのです。
特に米国式の場合、歯の根の先端に重度の炎症や感染が及んでいない初期の段階では、90%以上という高い成功率を誇っています。海外と比べ、日本はなぜ成功率が低いのでしょうか。
参考文献:Outcome of secondary root canal treatment: a systematic review of the literature
一般的な日本の 保険の根管治療 | 当院の 精密根管治療 | |
---|---|---|
ラバーダム防湿・隔壁 | ×ラバーダムなし ×隔壁なし 感染リスクが高い | ◎あり+隔壁あり 治療する歯以外をゴム製のシートで覆い、専用材料で壁を設置。唾液や細菌の侵入を防ぎます。 |
根管内を清掃する器具 | ステンレススチール製 | 患者さま専用の |
視野・マイクロスコープ | 肉眼 治療の精度に限界がある | マイクロスコープ 拡大視でき、より精密な治療が可能 |
CT分析 | 歯科用CTを使わない・ レントゲンのみ使用 正確な分析・診断ができない | 基本的に歯科用CTを使う レントゲン写真と併用することで、 より正確に分析・診断ができる |
治療薬 | ガッタパーチャ(ゴム) ゴム素材で封鎖性があまり高くない | MTA(歯髄保存治療) 抗菌性・封鎖性・生体安全性の高い 薬剤を使用 ※ガッタパーチャも併用 |
リカバリー | 歯科医師が都度判断 まだ治療の余地がある虫歯も、 歯科医師の技量によって 抜歯と判断されることがある | 緻密な外科施術による逆根管治療 (歯の根っこ側からの根管治療) できるだけ歯を残せるよう 外科的な治療を行い、回復を目指す |
治療時間 | 基本30分で何回も通う | 60~90分で丁寧に |
歯の神経をとる治療で最も難しいのが、複雑な迷路のような構造をした根管内から、歯髄(しずい:歯の内部にある神経の組織)を完全に取り除くことです。これは、ベテラン歯科医師でも容易ではない処置です。
一般的に、肉眼で確認できるのは根管の入り口部分だけ。そのため、歯髄をきれいに取り除けたかどうかは、経験に基づいて判断するしかありません。再治療が必要になるケースの多くは、病巣を完全に取り除けなかったことが原因です。
私どもは「デジタルマイクロスコープ」を駆使し、治療時の視野を肉眼の80倍程度まで拡大します。これにより、ミクロン単位でのより精密な治療が可能となりました。
さらに、根管内を明るく照らし、感染した歯髄をクリアな視界のもとで除去。こうすることで病巣の取り残しが大幅に減少し、再発リスクも低くなります。
精密な治療にこだわり、患者さまの大切な歯の寿命を延ばしたいと考えているのです。
歯の根の治療で重要なのは、複雑な根の構造を正確に把握することです。しかし、保険診療では使用できる検査機器がレントゲンに限られています。レントゲン撮影は有用な検査方法ですが、得られる情報は2次元的な画像のみです。
根管やあごの骨は立体的な構造をしているため、平面的な画像では十分に把握できない部分が多く存在します。
また、レントゲンでは映し出せない根管も存在し、この情報だけでは精密な治療を行うことが困難です。特に、複雑に入り組んだ微細な根管構造を理解するには、3次元的な情報が必要不可欠なのです。
私どもは歯科用CTを活用し、根管やその周囲の骨の状態を立体的に確認していきます。根管の本数や、それぞれの曲がり具合・病巣の状態まで把握が可能です。本来は見えないものを見える化することで、経験や勘に頼らずに、より正確な治療計画を立てられるのです。
根管治療は手術の一種であり、処置を行う前の予測と計画が非常に重要だと言えます。
人の口の中には驚くほど多数の細菌が存在し、唾液1gに含まれる細菌は約1億個にも及ぶほどです。このため、治療中の歯の根の中に唾液が入ってしまうと、瞬時に細菌汚染が広がってしまいます。
丁寧な治療を行っても、唾液の混入によって台無しになってしまう可能性があるのです。保険診療による根の治療では、唾液の侵入を防ぐラバーダム(防水シート)を使用しないため、常にこのリスクと隣り合わせです。
私どもは根の治療を行う際、必ずラバーダムを使用。これは治療する歯以外をゴム製のシートで覆う方法で、根の中への唾液の侵入を防ぎます。
また、治療に使用する細かな器具や薬剤が口の中に落ちる心配もなくなるため、歯科医師が治療に集中できます。こうした配慮により、治療の精度は大きく向上するのです。
※なるべく患者さまが不快感を感じないよう、歯科医師とスタッフが丁寧に対応いたします。
高い精度が求められる根の治療において、時間は重要な要素です。保険診療で一般的な15分程度の診療時間では、十分な精度の維持は困難です。
保険診療の場合、この短時間の治療を5~6回に分けて行うため、治療期間が数か月にも及んでしまいます。その間、仮詰めした材料が外れて根管内が汚染されたり、露出した象牙質に虫歯ができて欠けたりするリスクも避けられません。
これに対し当院が行う自費診療の根管治療は、1回の治療に60~90分という十分な時間をかけるため、治療回数を1~2回に抑えられます。仮詰めの期間も最小限にでき、より確実な治療に近づけることが可能です。
※ここでの治療時間は、根管治療を終えて被せ物をするまでの期間ではなく、歯の根の治療のみの期間を指します。
根管治療では、感染した歯の神経や血管を除去し、「ファイル」と呼ばれる針状の器具を用いて根管内を清掃・消毒していきます。
保険診療で使用されるステンレススチール製のファイルは非常に硬く、カーブや入り組んだ根管の治療には適さないケースが少なくありません。
それでも根管の清掃を続けなければならないため、病巣の取り残しや根管壁の損傷といったトラブルを引き起こしやすいのです。
私どもは、Ni-Ti(ニッケルチタン)製のファイルを使用しています。形状記憶合金であるニッケルチタンは優れた弾性を持ち、カーブした根管にも柔軟に対応。病変の取り残しや根管内の組織の損傷を防いで、より安全な治療を実現できます。
根管治療の成功率を上げるために欠かせないのが、バイオシーシーラーです。世界中で使用されている材料の中でも、最も良好な予後が得られる素材として知られています。もちろん、人体への悪影響もありません。
その優れた特徴として、以下の点があります。
根管治療の後には、隙間なくフィットする被せ物の装着が不可欠です。なぜなら、歯と被せ物の間にわずかでも隙間があると、そこから侵入した細菌により再び虫歯になるリスクが高まるからです。そのため、定期的な検査で被せ物が歯にしっかりと密着しているかをチェックすることをおすすめしています。
根管治療の精度 | かぶせ物の精度 | 成功率 | |
---|---|---|---|
Type1 | ◎精密度が高い | ◎自費 | 91.4% |
Type2 | △精密度が中度 | ◎自費 | 67.6% |
Type3 | ◎精密度が高い | △保険 | 44.1% |
Type4 | △精密度が低い | △保険 | 18.1% |
アメリカの大学が発表した統計データによると、根管治療と被せ物の両方で高い精度を実現できた場合、成功率は90%を超えるとされています。一方で、根管治療の精度が高くても被せ物の精度が低い場合、成功率は40%程度まで低下してしまうのです。
つまり、どれほど精密な根管治療を行ったとしても、最後に装着する被せ物の精度が低ければ、虫歯が再発するリスクは急激に高まってしまいます。
私どもは、根管治療の最中はもちろん、詰め物や被せ物の治療にもマイクロスコープを活用。ぴったりと合う詰め物・被せ物を作製し、長く使っていただけるよう努めています。
お口の中のさまざまな検査と、歯科用CTによる精密な画像診断を実施します。これらの情報をもとに、詳細な治療計画を立案していきます。
ラバーダム防湿によって無菌環境を整えた上で、歯の神経を抜き、根管の形成と洗浄を進めていきます。
1回の治療に60~90分という十分な時間をかけることで、充填までの通院回数を最小限に抑えることが可能です。このアプローチにより、根管の汚染リスクも抑えられ、治療の成功率は大きく向上します。
根管充填が完了したら、土台をつくって型どりを行います。マイクロスコープや拡大鏡を駆使することで歯にぴったりと合う被せ物を作製し、虫歯の再発リスクの抑制につなげています。
私どもは、まず治療方法について詳しくご説明し、患者さまのご要望をしっかりと伺った上で、その方に合った治療方針を決定してまいります。
前歯 | 小臼歯 | 大臼歯 | |
---|---|---|---|
歯髄保存 | 80,000円 | 100,000円 | 120,000円 |
抜髄 | 100,000円 | 120,000円 | 140,000円 |
感染根管治療 | 160,000円 | 180,000円 | 200,000円 |
外科的 根管治療 | 120,000円 | 140,000円 | 140,000円 |
異物除去 | 110,000円 | 110,000円 | 110,000円 |
パーフォレーション リペア | 120,000円 | 130,000円 | 140,000円 |
※表示価格は全て税抜です。
私どもは、患者さまの大切な歯を守り、できる限り長持ちさせたいと考えています。しかし以下のようなケースでは、歯を残すのが難しいのも事実です。
このような状態では、残念ながら抜歯を選択せざるを得ません。あらゆる可能性を探った上での判断となりますので、ご理解いただけますと幸いです。
処置後に 抜歯になった時期 | 処置後 1年間 | 処置後 1~2年間 | 処置後 2~3年間 | 処置後 3~4年間 | 処置後 4~5年間 |
---|---|---|---|---|---|
保証割合 | 10割 保障 | 9割 保障 | 6割 保障 | 3割 保障 | 1割 保障 |
治療終了から5年間は、歯の治療費について保証が適用されます。保証期間中にトラブルが生じ、やむを得ず抜歯となった場合には、抜歯後の治療費を減額。ただし、抜歯後に同じ箇所で自費診療を選択いただく場合に限ります。
なお、以下のケースは保証の対象外ですので、ご了承ください。
※現金での返金は承っておりません。
治療内容によっては、治療費が高額となる場合がございます。
当院では、分割払い・クレジットカード・デンタルローンなど、さまざまなお支払い方法をご用意。患者さまの負担を少しでも軽減できるよう、負担の少ない方法をご提案いたします。
お支払いに関するご不安な点は、どうぞお気軽にご相談ください。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
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午前 | ○ | ○ | ○ | ※ | ○ | ○ | ─ |
午後 | ○ | ○ | ○ | ※ | ○ | ○ | ─ |
午前:9:00~12:00
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